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獣医師の困りごと 〜診察室で繰り広げられる人間の感情が関わる問題

 動物病院(小動物診療所)はペットの病気を治すところです。昨今の日本では、ペットの具合が悪い時、ペットに愛情を注ぐ飼い主の多くはためらいなく動物病院を利用します。そして病気のペットを治療するため、全国11,259施設(農林水産省,2014)の動物病院の獣医師や病院スタッフが毎日奮闘しています。

 全国津々浦々に動物病院があり、家族として飼育されているペットが飼い主の愛情によって充分な治療を受けることができるほどペットの医療が一般的に普及している反面、年々減少傾向にありますが平成25年には年間約13万頭の犬猫が殺処分され(環境省自然環境局,2014)、虐待やネグレクト(飼育放棄)によって多くのペットが苦しんでいる現実があります。殺処分される、虐待を受けるペットの多くは、元々可愛がられていたペットやそのペットが生んだ子犬・子猫です。飼えなくなった、気に食わないことがあったなど、何らかの人間側の事情がこのような悲劇を生む出発点になっています。

 動物病院の診察室に目を移してよく観察すると、動物病院に連れてこられる愛情を受けているであろうペットにも人間側の事情によって様々な問題が発生していることを発見することができます。ここで、他院で治療してもよくならなかった皮膚病の犬の転院事例をあげて、人間の事情によってペットに降りかかっている問題について考えてみようと思います。

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