エゴグラムを類推する

 エゴグラムはふつう簡単な心理テストによって明らかにされます。しかし会話を通じてその人のエゴグラムをある程度類推することもできます。また、様々な生活場面での自分の行動の選択基準を内省することによって自分のエゴグラムを認識することも可能です。このように外に見える行動や、自己洞察によってエゴグラムを識別する方法として、行動的診断社交(社会)的診断歴史的診断現象的診断の方法があります。エゴグラム傾向チェック表を参考にすることで、自分や他者の行動や社交様式からエゴグラムをある程度判断することが出来るかもしれません。

 行動的診断は、言葉、声色、仕草、表情、姿勢などを観察することによってエゴグラムを診断する方法です。まっすぐ目を見て、はっきりした声の大きさと言葉づかいで、自信を持って話をする人はAが活性化されていることを示す特徴です。小さな声で自信なく話をする人はAC、自分のことばかり話をする人はFC、威圧的な話し方をする人はCP、やさしく話しかける人はNPが活性化されていることを示す特徴です。この特徴は状況や相対する人やその人の自我状態からの反応に影響され変わってくることも多く、あくまでエゴグラム判断のスタートと考え、行動的診断以外の診断方法の情報も加味しながらそのひとのエゴグラムを類推してゆきます。

 社交(社会)的診断とは自分と相手の交流の傾向を明らかにして、主に対話分析を通じてエゴグラムを判断する方法です。対話分析については後で詳しく説明しますが、人はふつうPから発せられた言葉に対してCによって反応します。AからはAで、ACから発せられた言葉に対してはPによって反応することが多いのです。つまり人と交流中の自分の自我状態を把握できれば、相手がどの自我状態を活性化させているかを判断することができます。

 その人の生育歴、どんな子供だったのか、両親とはどんな関係でどのような人なのかなどについて質問し、その内容やそれを語るプロセスをから受ける印象を検討することでその人の持ちやすい自我状態を検討することができます。このような方法を歴史的診断と言います。

 そしてときに人は過去を思い出すことではなくフラッシュバックのように出来事を再体験することがあります。このとき、ある自我状態の機能が優位に働いていることがあります。このようにして理解されるエゴグラムを現象的診断と言います。似たような状況の時、かつて心に抱いた感情を同じように感じる体験をするときなどに自分の優位な自我状態を確認できます。たとえば、誰にも受け入れられず孤独を感じたときに、昔仲間外れにされたときの感情がよみがえって、他人を非難するような気持ちが生じるならCP優位の自我状態を持ち合わせているでしょうし、めそめそしながら誰かの助けを得ようとする気持ちが生じるならAC優位の自我状態を持ち合わせていると考えられます。

 自分や相手のエゴグラムをつかむことができたら、今度はそのエゴグラムがどのような性格や性質をあらわしているのか理解しそれを生活に生かすということになります。ここで注意しなくてはいけないことは、エゴグラムは人を評価したり、レッテルを張ったり、そのことによって他人をコントロールしようとすることを目的に利用されるものではないことです。あくまで、自分の考え方、言動、行動パターンの意味を知り自分のより良い生活のために生かすこと、そして、相手の傾向を知り、相手を尊重した交流を持つことができるようになることを目的としています。エゴグラムは、人それぞれの適応傾向であり、個性を表しているともいえますが、結果に良い悪いがあるわけではありません。どのようなエゴグラムを有していてもいいのです。自分のエゴグラムに気づくことで、自分の思い通りに人生を生きることにつなげられます。問題がなければエゴグラムを見直す必要はありませんし、問題があるなら自分で思い通りにエゴグラムを変えることができます。エゴグラムは興味本位で取られるものではなく、自分や相手の幸福につながるように利用されなければなりません。